仕事の任せ方、こんな疑問や心配ありませんか?
- 部下に仕事を任せる方がチームとして仕事がうまくいくことは”なんとなく”理解しているけれど、たくさんの仕事を任せてしまっていいの?
- 部下の仕事を増やしている罪悪感があるので、部下に仕事を任せるときの自分の精神的な負担を和らげたい。
そこでこの本
できるリーダーは、「これ」しかやらない
メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ
伊庭正康
なぜこの本?
サブタイトルが、正に知りたいことにストレートに答えてくれそうだったので手に取りました。
わたし自身、組織の中で働いており、ひとつの係を任されるリーダーです。
部下に仕事を任せる場面は日常的にありますが、たまに、あるのがこれ。
- やると言ってくれたけど、本音では負担に思っていないかな・・・
- わたしが任せた仕事で部下が残業していて帰るのに気が引ける。手伝ってあげたいけれど、それだと部下のためにならないのかな・・・
また、わたしの現在の部下は、前向きに、かつ自ら動いてくれるので、日々本当に助かっています。
恵まれた環境だと常々思います。
しかし、組織で働く限り人事異動はつきものです。
この先、別の部署などに異動したときには、もっと多くのスタッフを抱えるかもしれません。
また、ヤル気がなかったり、思うように動いてくれなかったり、、、
考えると不安になってきます。
恵まれた今の環境にいるうちに、任せ上手なリーダーのコツを勉強しようと思い、本書を読み進めました。
仕事を任せるのは「部下の成長のため」で正解
この本では、リクルートワークスの調査結果をもとにこう説きます。
仕事を任せていかないと、部下の成長は鈍化する
なるほど、チームワークうんぬん、リーダーの負担減、とかではなく、
任せることは部下の成長につながる、ということ。
本書ではこのように続きます。
最初の3年が肝心で、その時に「上司が部下に厳しい仕事を任せなかったため」に、4年目以降の成長を遅らせてしまっている
自分はまだ、真っ新な新人を受け入れたことがありませんが、新人を受け入れるときには、この視点で育成したいと思います。
任せるのは部下の成長のため。
任せない方が罪が重い、ということ。
また、理想のリーダー像として、次の一節があります。
リーダーが自らの経験を使ってうまくやっても未来の投資にはならない。
部下のできることを増やし、自信を持たせることこそ、未来への投資。
根拠ある自信を育むためには、ひたすら経験しかない
少し根性論的な側面はあるかもしれませんが、私はこの一節に共感します。
自分の経験を振り返っても、ある程度負荷がかかる仕事を乗り越えたあとは、能力があがったという実感より、自信がついています。
”投資”という言葉で捉えたことがなかったので、仕事で実行していくにあたり参考になりました。
部下の負担が心配
ここで私が気になったことは、任せた仕事が、自分が考えている以上に部下の負担になってはいないか、ということ。
この本は、次のように答えてくれます。
任せるときは、部下の特性や成熟度をよく考える
なるほど。見極めが大切なんですね。
本人の能力と与える仕事のレベルや量。
その部下が成長するための栄養になるのはどんな仕事か?
という視点で任せる仕事を考えてみるといいかもしれません。
部下に仕事を任せるときのポイント
ここまでで、部下に仕事を任せることは、部下自身の成長、ひいては組織の成長に繋がる投資になるということが分かりました。
では、次は部下に仕事を任せるときのポイントを拾います。
ポイント① 自己決定感に着目する
人間は、自分が決めた物事に対して主体的になることができます。
この感覚を部下に持ってもらうということです。
上司から指示があったものだけをこなす。
はじめはそれでもヤル気を出すことができるかもしれませんが、言われたことだけやっている状態は仕事に対するモチベーションを保つことができません。
それに、仕事をする上では、「自分で課題を見つけて→仮説を立て→解決策を考え→実行する→検証する→再度トライ」という流れが大切になりますが、任された仕事だけをしていたら、このサイクルが部下自身に身につかないことになります。
そこで自己決定感です。
この本では、星野リゾートの星野佳路社長の口癖を参考としています。
「で、どうしますか?」
この問いかけをすることで、主導は部下になります。部下が自分事として仕事を捉えられる。
その状態になったら、成功も失敗も部下にとっての栄養になります。
また、別の言い回しも紹介されています。
「どう、できそうかな?」
指示をしたり、仕事を任せたときは、このように声かけすることで、部下に主体性を引き出せそうです。
ポイント② 「実績がないリーダー」をお手本にする
ここでは、「経験がないことがリーダーにとっての武器になる」というお話です。
経験がない分野でリーダーになった場合、頼りになるのは部下の意見です。
部下の意見を聞いて、それを取り入れることが、経験があるリーダーよりも躊躇なくできるということです。
例え、部下の意見が業界的には禁じ手とされるようなものであっても、取り入れられる。
その大胆さが任せ上手に繋がるということです。
ここから言えることは、これまでの経験や慣習に縛られてできなかったことを実行できる、もそうですが、部下の意見・提案を積極的に取り入れることで、部下の自主性を刺激できる、ということです。
では、経験があるリーダーはどうするのか?
それは、知らないふり、分からないふり。
自分の経験上の知見で全て指示するのではなく、あえて知らないふり、分からないふりをして部下に意見を求めるのです。
経験があるリーダーほど、口をはさみたくなるものですが、ここは我慢。
よほどの大切な事案でなければ、部下の成長のためにまずは部下の提案を取り入れてみましょう。
例えそこで失敗があったとしても、それは部下の肥しになります。
自走できるチームを目指して
最終的なゴールは、自分が任せなくても、部下たちが自分で考え、自分で動けるようになるチームです。
そんな、自走できるチームづくりのためのポイントを本書を参考に紹介します。
はじめの問いと少し離れますが、理想形を知るためにサラッと触れます。
ポイント①信頼関係を築く
まずは信頼関係です。
部下が自主的に動けるようになるためには、一緒に働くリーダーとの信頼関係が必要です。
これがない場合、ただの個人プレーになってしまいます。
この本では、部下との信頼関係を築くために必要な考え方を次のように紹介しています。
常にリーダーモードを優先させること
上司が給料が高いのはミスを謝る仕事もあるから。
つまり、自分の時間は部下のための時間である、ということです。
また、上司は部下のミスをカバーすることが大切な仕事になります。
部下がミスをしても、優しく声をかけてあげることで部下との信頼関係が深まります。
ポイント②仕事の使命を語る
部下からすると、上司に言われたことをただこなすだけでは、ヤル気を保ことは難しいです。
携わる仕事の楽しみ方であったり、その仕事が世の中がどんな風に役に立つのか、などの価値観をリーダーの立場で部下に語れることが必要です。
その際のポイントは、使命におけるストーリーの主語が、会社ではなく、ユーザーや社会になっていることです。自信の業務が、ユーザーや社会にどのようなインパクトを与えられるのか、に気付くことができると、やりがいに繋がってくるためです。
ポイント③動機付け
上記ポイント②は外的要因からやりがいに繋げる経路でした。
次は、内的要因からです。
仕事の使命と本人の内的な目標がつながると、部下はより自主的に動くことができるようになります。
次のフレームを用いて、部下の内的なモチベーションを引き出すサポートをしましょう。
- Will・・・どうなりたいか。欲求
- Can・・・能力。何ができるか。
- Must・・・やるべき仕事は何か。
この3つが重なると、モチベーションを維持・向上しやすくなります。
以上、部下への仕事の任せ方について、伊庭正康さんの「できるリーダーは、「これ」しかやらない」から学びました。
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